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山形県の塗装職人
会社名:JPM 上山店
結城 伸太郎
所在地:山形県上山市阿弥陀地568
北国の人に読んでほしい!雪国のペンキ屋ならではの天災対策と心構え
天災による塗料の不良…
僕らが扱う塗料も、どんな塗料もいわば半製品である。
その半製品に人為的な加工を施し、乾燥させ塗膜と化し、商品となる。
車の塗料も、鉄塔の塗料も、建築の塗料も皆そうだ。
そしてあなたの屋根や外壁に塗装される塗料ももちろん同じである。
その塗料が硬化中に天災や人為的な障害起きたらどうなるのか?
硬化中に雨や雪、強風により、または人為的なミスなど、
障害が起きて硬化しなかったら、若しくは仕上がり不良であったり。
それはもはや「商品」とはならない。
僕らがなけなしの銭を使い購入したせっかくの塗料は、産廃処理されるゴミと化す。
例えば仕上がり不良でちぢみ現象が起きたとすれば、僕らはそれを剥離剤で剥がす。
もはやゴミである。
高い塗料は10万もするのだ。
それがただのゴミになる。
この現実と僕らは幾度となく直面している。
ペンキ屋と言えど、僕らは現場で商品化させている事を考えれば製造業と何ら変わりない。
しかし工場で製品化する人たちは、屋根の下でいつもイコールコンディションで製造する事が出来るのに対し、
僕らはいつも先ほど言ったリスクを抱えながら現場で施工しているのだ。
人為的なミスは致し方ない。
しかし天災はどうだろう?
科学が発展したこの時代でさえ、誰も操作する事は出来ない。
ただ空を見て祈ることしかできないのだ。
そんなストレスと闘いながらも、僕らは一生懸命商品を作る。
来る日も来る日も、ただ綺麗に塗りたくて。
「ありがとう」という言葉を聞きたくて。
それだけのために色んなアイデアを出しながら施工しているのだ。
新幹線の塗装はロボットがしているって知ってますか?
工場の中で一定の間隔で、絶妙なスピードで均等に、美しく吹き付けて塗装してます。
僕らは人間だからそこまで正確なスピードは保てないが、時にはロボットよりも綺麗に塗る事が出来るんです。
例えばお家の外壁を塗装するならば、細かい所や大きな所を道具を使い分けて塗装したり、
下地が悪ければ一旦手を止めて下地を活性化してから塗装する事もある。
臨機応変に、家の隅々まで、または見えない所までも、僕らは塗装できる。
ロボットには出来ないもの。
「誠意」をもって人間は機械を超える。
3Kと言われる汚いペンキ屋が、機械を超える。
「料理は愛情」そんな言葉がありますが、料理人と同じく、僕らはお客さんに喜んでもらえる商品を作ってます。
雪国ペンキ屋の事情
さて、そんな半製品の塗料ですが、天災による不良が生じないように僕らは色んなやり方で回避します。
雨ならば作業中止、もしくは雨が当たらないようにビニールを掛けて雨が当たらないように工夫したり。
気温が低ければ暖を取ったり、強制的に乾燥させたり。
それらは全て「予想しなかった工程」なので追加徴収など出来ません。
契約した金額の範囲内で作業してます。
普通なら納得できませんよね?
けど、例えば運送屋さんが、吹雪で走れないから引き返しますか?
余計時間かかったから輸送費を増額しますか?
そんな事は出来ません。
いや、消費者は許しません。
同じように僕らがいくら天災を回避するために労力を使えど、お客さんにお金は頂けません。
では雪が降る地域はどんな塗装をしているのでしょう?
毎日毎日降り積もる雪。
搔いても搔いても次の日には同じように積もります。
屋根の塗装? 出来る訳がありません。
塗料の硬化は基本的には5度以上。
湿度だって気を配ります。
それなのにマイナス8度になるこの山形県で塗装?
ありえませんよね。
そうです。やらない方が身のためです。
けれどやっちゃうのが山形県。北海道も同じでしょうね。
一年のうちに正味9か月間(4月~12月)しかまともに塗装できる期間がありません。
かと言って社員給与や会社を維持するためにそんな言い訳は通じません。
国の税金だってきちんと払います。
天災があるからと言って納付を待ってくれませんし。
そんな中でも塗装を売るために商売はしなければなりませんが、一般住宅の塗装はやはり施工は皆無です。
誰も発注しませんし、施工している業者がいたら「阿呆」としか言いようがない。
しかしそれはあくまで塗り替え単体の工事の事です。
例えば10月に着工した新築住宅があったとしましょう。
塗装工事は仕上げ工事なので引き渡し直前の工程です。
約3か月掛かる新築住宅であれば、塗装工程は12月~1月となります。
この場合塗装工事を一旦中止し、春まで待ちますか?
待ちませんよね。
お客さんは早く引っ越したい訳なので、無理してでも塗装工事を実行します。
それはそれは様々なアイデアと工夫で塗装します。
屋根には積もった雪がどっさり。
とりあえず軒からビニールを張り足場内に雪や雨が侵入しないように、外周をビニールで養生します。
1時間掛かりようやく終わったものの、溶けかけた雪は屋根を滑りビニールにドサッと落ちます。
ビニールはもうしっちゃかめっちゃかです。
屋根の雪を落とし、もう一度張り直します。
足場にも雪がどっさり落ちたのでスコップで雪を掻いて落とします。
時には足場内にジェットヒーターを炊いたり、ブルーシートで完全に外周をくるんだり。
そんな苦労を何度も行いながら、タイミングと隙を伺い外壁を塗装するのです。
毎年毎年そんな苦労をしてます。
新築を前にしたお客さんはどうしても「新築・引っ越し>品質」にはなってしまいますから。
もちろん、僕らは品質を重要視しながら施工してますけどね。
まれにハウスメーカーさんなどで、吹雪でどうしようもなくて、引き渡しと引っ越しが終わって、
それから春を待ち、もう一度足場を組み外壁の塗装をやり直すこともあるんですよ。
その際はハウスメーカーさんが足場の費用と塗装のやり直しの費用を捻出してくれるところもあります。
すごい誠意を感じます。
公共工事も同じ。
幸い公共工事は、国家予算を年度末まで使い切るためらしく、12月頃から発注になるケースが多いです。
僕らはそんな公共工事に何度も助けられてます。
住宅塗り替えが出来ないために、公共工事の大規模外壁塗装などが出たりするんです。
先ほどの新築住宅同様、屋根や足場に積もった雪を降ろしながら、タイミングを見計らって施工してます。
水性塗料が凍ってたりもします。
その場合は大きなバケツに水をためてお湯を作り、一斗缶ごと温めたり、暖かい室内で保管したり。
吹き付けの場合エアーホースをヒーターで温めたり。
兎に角色々考えながら絶対に現場を完了させます。
夏の施工手間の倍掛かりながら、それでも弱音を吐かず。
生きていくためです。仕方ありません。
この地域で育った以上仕方ないんです。
塗装屋さんの中には、冬はもう諦めて、社員には期間雇用を定めてるところもあります。
というかそういうところが結構多かったりします。
その場合職人さん達は、スキー場へバイトへ行ったり、除雪や雪下ろしの作業をしたりして食いつないでます。
これが雪国ペンキ屋の現実です。
僕はそんな状況に指をくわえてみているのは絶対我慢できなかった。
ペンキ屋でもサラリーマン同様の待遇を社員に与えることこそ、いち企業としての使命と思ってました。
努力してその夢が実りましたけど。
そのためのリアルな話はまたの機会にでも。
話を戻しますが、塗料は半製品です。
天災と言えど言い訳無用で、僕らは商品化させて代金を頂戴します。
どんな手を使ってでも。
そこに塗装する仕事があるならば、頭をふり絞って絶対に完了させます。
皆さんの大事な国家予算を使っているのです。
綺麗に仕上がらないならば仕上がるように工夫します。
実際の天災対策例
時にはこのように建物をすべて覆って施工もします。仮設の屋根をつけました。公共工事です。
中はこんな感じ。 真冬なのにとても環境が良かったですよ。屋根の仮設費は県で負担してくれました。
見事に防水工事が完了しました。
公共工事の大規模改修工事現場でした。雪かきしながら。。。
力を合わせ・・・下地を活性化し、
タイミングを見計らい塗装作業
屋根から落ちる雪を回避しながら吹き付け作業
それでも見事に完了させました。
元請で施工した旅館です。もっとも閑散期の冬場に施工してほしいと頼まれました。
吹雪をうけながらしかも全てゴンドラにて施行しました。
3か月掛かりました・・・。
それでも、見事に完了させましたよ。
このようにどんな建物も綺麗に完了させているのです。
皆様の愛用する公共施設。
どれもこんな苦労の上で、見事に生まれ変わっています。
僕らは綺麗に生まれ変わった建物を、いつも微笑ましく見ています。
施工した現場なら尚更見とれています。
自己満足に過ぎませんが、そんな自己満足が僕らの大切なエネルギーなのです・・・・・・
雪国の塗装職人
上記で分かる通り、僕らは地域ギャップを乗り越え毎日を生きています。
それでも毎日楽しいです。
毎年冬が近づけば不安になりますが、そんな事よりも、不安定なこの仕事でも楽しく就いている仲間には励まされるんです。
それに雪国の塗装職人はみんな忍耐力も精神力も半端ないですよ。
少々のことなら絶対くじけません。
諦めも悪いですし(笑)
仲間たちはどんなつらい仕事でも「仕事あるだけマシ」という言葉で片付けてくれますから。
営業する側からすればこれ以上心強い言葉ないかもしれませんね。
だから常に僕らはハングリー技術も知識も貪欲で、己のスキルを上げるためなら必死です。
個人的な話ですが、弊社の場合塗装のみならず、防水工事、左官工事、タイル工事の「スキルも養ってます。
そしてそれが強烈な武器となり、冬でも一切挫折しない「自信」につながってます。
全国で忙しくされてる塗装屋の皆様。
本当にライバル視しなければならないのは僕らのような雪国のペンキ屋かもしれませんよ^^
雪が降らないってだけでハッピーですからね。
(仮に上京して起業したならば、現状の2~3倍の売り上げを出すなんて造作もないかもしれませんし)
当たり前に夢を語り、当たり前に笑い、当たり前な幸せを僕らも持ってます。
ただ幸せの受け皿が誰よりも大きいってことです。
これからも僕らは死ぬまで塗装職人として働いていくと思います。
例え大雪が来ても吹雪が来ても、きっとこの精神は変わらないと思います。
いや、むしろこの環境の悪い雪国でどこまで挑戦していけるか・・・
それが逆に楽しみであります。
いつか雪国で仕事ができない同志達に、仕事を提供していけるような企業にしていこうと思ってます。
もし、そんな事が出来るようになったなら、きっと今以上に幸せな気分になれるのかもしれない・・・・・・。
塗装職人の限界
我々塗装職人と言われる種族は、塗料を使い見事に塗り上げる職人のことを指します。
世の中に塗装されている物体の多くは、建物を始め、乗り物、家具、家電など、
ありとあらゆるものが塗装にて仕上げられています。
今回お話するのは建物を塗装する職人についてです。
塗装職人といってもみんな性格は違い、感性も違います。
いかに綺麗に塗るかは、会社によってそれぞれですし、
どこまで綺麗に塗るかも極めようとすれば限界はありません。
けれど誰だって「綺麗に塗りたい」という気持ちは変わらないはずです。
例え16歳の職人であろうと、綺麗に塗るために指導されていますし、
綺麗に塗りたい気持ちも大きいはずです。
けど上手くいかない…。悲しいほどに上手くいかないんです。
熟練者はあくびをしながらでもあっさりと綺麗に塗り上げます。
簡単に見えて、やってみるとこれが中々上手くいかない。
刷毛にふくめる絶妙なペンキの量、垂れそうで垂れない刷毛さばき。
繋ぎ目も見えない。これまた絶妙な塗布量。
どれもこれも、教えられて上手くなるわけではないんです。
それは「感覚」で塗るからです。
見えないところでも、たとえ暗くても、同じように塗ることができます。
これ嘘のようなホントの話。
例えば、鉄骨の柱を塗るとしましょう。裏側は狭くて入れません。
見える部分は見て塗りますが、裏側の見えないところも、「感覚」に任せて塗ることができます。
鏡で覗き込むと、キチンと塗られてます。本当です。
これは言葉では言い表せない表現です。
ペンキを乗せたとこと載せてないところ、これが刷毛の毛先から伝わってくるんです。
なのでもはや、毛の一本一本が神経とつながっていると言っても過言ではないんです。
何度も言います。嘘のような本当の話です。
そんな職人ですが、やはり器用さにおいて技術に差は生まれます。
一言だけ指導して全てを飲み込む人間。
たまにそんな天才肌も存在します。
「器用さ」とは決して手先だけの事ではなく、脳の回転の事も指してます。
どちらも備わった天才肌の職人もやはり居るんですね。
不公平ですね。
けど上手く塗れないからペンキ屋になれないわけではありません。
そう、天は二物を与えず…。
手先は器用じゃないが、人の動かし方が上手い人やコミニケーションを取るのが上手い人もいます。
ほら、よく言うじゃないですか、頑固な職人は口数が少ない、とか。
だから手先が器用じゃなくても、それぞれの分野で得意なものを伸ばせればそれでいいのです。
技術あっても仕事がないんじゃ見せ場もないわけですから。
そんな感じで、我々ペンキ屋はお互いに助けられながら仕事をしています。
結局はなんの仕事も同じです。
どこの組織も同じです。やれる事をやる世界です、我々も。
さて、ではペンキ塗り職人は限界を極めたらどこまで成長するんでしょうか。
「刷毛で綺麗に塗る」「ガンを使って綺麗に塗る」「ローラーで綺麗に塗る」
ここまではペンキ屋でもみんな目指す部分です。
これを突き詰めて考えていくといくつかの芸術的分野にぶつかります。
「絵を描く」「写真を撮る」「看板」「エアブラシアート」など。
要するにペンキ屋さんは「美的センス」が磨かれます。
この「綺麗に」という分野全般が磨かれるんです。
なので内装工事においても、左官工事においても、仕上げ分野全般に目が肥えてきます。
ペンキ屋さんは刷毛のみで一直線なラインを出します。
それが基本となるので、壁紙やタイルなど、直線が出てないとどこか違和感を感じます。
もはや職業病ですね。そんなペンキ屋さんには国家技能士というものが存在します。
国が認める技能士です。
この技能士を取るためには、学科試験と実技試験をクリアしないといけません。
学科試験は普通のペーパー試験です。
実技試験は、木板に指定された図形を書いて、その図形の線からはみ出ないようにまっすぐ塗る作業があるんです。
塗るペンキも、数色作らねばなりません。
原色といわれる「黒、白、赤、黄、青」を混ぜて指定された色を作るんです。
その色を指定された場所にムラなく見事に塗らなければなりません。
図形を間違ってもダメ、色作りを間違ってもダメ、下手くそでもダメ。
結構神経使う作業です。落ちる人は10回も落ちます。
1級、2級とに分かれ、作業レベルも違います。
これを取得することがとりあえずの目標になったりします。
さて、皆様も街中でペンキだらけの人を見かけることもあると思います。
「汚い」と思うかもしれません。
けれど僕らはそんな神経すり減らす世界で一生懸命生きてます。
何度も試験に落ちる人、どうやっても先輩より上手く塗れない人、様々います。
それでも、いつか誰よりも上手く塗れるように、真剣に考えてこの職業を楽しんでます。
汚くなる仕事ではありますけども、これからの若い子達にもこの楽しい職業を教えたい。
腕一つで、競争しあい、腕を磨き、成長を楽しめる職業であることに違いありません。
このJPMは、そんな明るい未来のステージを創るという趣旨も含まれてます。
職人に限界はありません!!
腕を磨き、建物だけじゃなく芸術家を目指すのも悪くないでしょう!
磨けば磨くほど、色んな方向へ派生していけるとても将来性のある職業です。
塗装職人の道具について
世の中の職人達はそれぞれ想いある道具を持っています。
師匠に譲り受けた物、一生懸命貯金して買った物、使い古した物、など経緯は様々。
どれも職人達には大切な物です。
その道具によって上手に仕上がる事も無きにしも非ず。
単純に腕だけではないと言えます。
一般の方から見れば何に使う道具なのかさっぱりわからないでしょう。
「ただのガラクタ」に見えるかもしれない。
けれどそんな道具ひとつで何千万、何億と稼いできたのです。
いや、稼いでいるんです。現実に。
よく「手に職をつける人は一生食っていけるからいいよね」と言いますが、実は道具がなければ何も意味がないんです。
道具があって初めて世に通用する技術を提供できるんです。
道具って馬鹿に出来ないんですよ。
大事に使えば何年も使えるんですから。
僕らは塗装屋、つまりペンキ屋の集まりですから、刷毛が中心となります。
刷毛は一本数百円で買えるものから10万円以上するものもあります。
用途や箇所によって使い方も色々です。
例えば漆塗りをする際の刷毛の毛は人毛なんですよ。
「え!?」
とお思いかもしれませんが、本当です。女性の髪なんです。
ちなみに漆刷毛は10万円以上します。
今となってはお椀や家具などにしか使用されませんが、昔は和室の鴨居や長押にも漆が施されていました。
春慶塗り(しゅんけいぬり)っていうと知ってる方もいるかと思いますね。
飛騨春慶、能代春慶など地方によって様々な塗り方があるみたいです。
僕は弟子時代に漆塗りも経験してます。
一発でカブレました(笑)
師匠は何ともなく塗っていましたけど。
なので僕は漆に似た「カシュー」と呼ばれるもので精一杯でした。
この時使っていた漆は国産ではなく中国産でした。
それでも1キロで10万以上したと聞きました。
国産となるともっと高いんでしょう。
漆塗りにまつわる話ですが、漆は湿気で乾燥します。
普通ペンキは湿度が高いと塗装できないんですが、漆は逆なんです。
和室を塗るときは床全面に濡れタオルを敷き詰めて塗装するらしいです。
そしてあらゆる窓や戸は閉め切ります。
職人は施主さんに「絶対に開けないでください」と言うらしいんですね。
けど開けるなと言われると開けたくなるのが人間。
我慢ならず襖を開けると、覗いた隙間から顔めがけて刷毛に染み込んだ漆を
ビュッとかけられるらしいです(笑)
かけられた施主さんはもう~大変です(笑)
そんな事が昔はよくあったそうです。面白いですね。
今やったら裁判物ですね。職人が強い時代でした。
そんな僕も今でこそ建築塗装職人ですが、当時は家具塗装もやってたんですよ。
難しかったですね。
けどそれがあって、今は床の間の仕上げなんかは自画自賛するほど絶品です(笑)
それもやはり刷毛次第ですが。良い刷毛は本当に良いんです。
何というか、神経が伝達するみたいに思い通りに仕上がります。
数百円の刷毛でも使い物にならないわけではないのですが、良い刷毛を使っていい仕上げをするのが職人としての魂なのでしょう。どうしてもそこに拘ってしまいます。
せっかくなので僕の刷毛BOXを公開してみます。
これは刷毛専用の保管箱です。
メーカーでちゃんと作られているものです。
小さな刷毛や大きな刷毛など色々ありますね。
細かい所や大きな面など用途によって使い方は様々です。
僕もそれなりに拘りがあって、この刷毛はこういう時、この刷毛はこんな時、など自分の中で決まってます。
比較的に綺麗な刷毛を取り出してみましたが、刷毛は使えば使うほど毛が短くなってきます。
短くなるとコシがなくなってくるので、タワシみたいにゴシゴシ塗る時にしか使えなくなります。
あまり短くなるまで使ってしまうと愛着がわいてしまって記念品となり保管されます(笑)
この刷毛達も職人によってえらばれ方は様々です。
刷毛BOXの中身が誰かと丸被り、なんて事はそうないはずです。
刷毛以外には腰袋というものもペンキ屋にとって必需品です。
腰道具、釘袋、腰袋…色んな呼ばれ方しています。
ちなみに僕の腰袋をお見せします。
↑ダスターと呼ばれる小さな箒(ほうき)、カッター。はさみ、皮スキ、パテヘラ、ドライバー。
これが僕の基本道具です。
ボロボロになってきてますが、この腰袋は1500円くらいの割に3年くらい使ってます。
もっと剛性のある腰袋もあるのですが、僕はこの布製が一番好きです。
はい。これがいわゆる職人の拘りというやつです。何のメリットもありません。
あえて言えば「ボロボロでカッコいい」からです(笑)
次にローラーですね。刷毛とローラーは基本的な塗り道具です。
刷毛の3倍のスピードで塗る事が出来ます。
なぜ3倍かわかるのかって?
昔屋根塗りながらタイムウォッチで測ったことがあるからです。
結構暇な時期のことです。
↑このように色んな毛や形のローラーが存在しており、これも塗り個所や用途によって変わります。
キメ細かな艶が出るローラーや厚みがつくローラーなど様々です。
これも職人により選ぶ基準が色々ですね。
性格もあるのか、本当にいろいろです。拘りって面白いですね。
せっかくなので僕の道具達をもっとお見せします。
次はシーリング用のヘラです。
↑これも色んな形があり、使う個所によって使用するヘラも様々です。
ただこれは既製品のものを自分なりに加工しています。
自分の癖に合わせ元々のヘラを切り取り、こんな形になってるんです。
そりゃあもう使いやすく加工してるんで、僕以外使いこなせませんよ?
はい。これも変な拘りです。
どんどんいきましょう。
次は左官鏝です。
↑これまたゴチャゴチャと色んな鏝があります。
普通のモルタル鏝からレンガ鏝、タイル目地詰め用、櫛目鏝、など沢山あります。
鏝は刷毛に匹敵するくらい沢山の種類があります。
鏝もメーカーによって値段も様々です。
鏝も高級な物ですと10万以上します。
一般的には仕上げ用、中塗り用、木鏝、面引き、切付、など。
それぞれに、油焼き、ステンレス、本焼き、プラスチックなど沢山あります。
左官鏝は刷毛よりもずっと長持ちします。
それこそ10年以上使いこんでる鏝を持つ人も多いです。
僕の知り合いの左官屋さんは、握るところ(木の柄部分)が指の形まですり減り変形してる鏝を持ってます。
かれこれ30年付き合っているとかで、もはや僕が握ってもフィットしません(笑)
道具への愛ですね……。
素晴らしいです。
貧乏だから、とか思う方いませんよね?そうですね。これが道具への愛です。
愛があるから思い通りに動くのです。仕上がるのです。
この喜びをわかる人が職人への道を極めるのです。
建築関係の職人について話しましたが、例えばパティシエや料理人、鍛冶屋さんだって、道具への拘りが絶対あるはずです。
手に職にを付ける人はみんな道具への深いこだわりがあり、愛があり、想い入れがあるのです。
僕ら塗装職人も、そうした小さな世界で、馬鹿にされても道具への愛は変わる事はありません。
これからもこの小さな道具ひとつで何億も稼いでいくんです。
この腕と道具で、家族、社員、そして自分を守っていくんです。
決して馬鹿にしてはいけません。
歳関係なく拘りを見つけ、道具に対していつまでもくだらない会話で盛り上がるんです。
さぁ、明日も拘りの道具で稼いできます^^
時代が変わっても大切にしたいこと
挨拶は人間のコミュニケーションの一つです。
僕ら職人も同じです。
朝は「おはようございます」
から始まり「こんにちは」、「お疲れ様です」、「ありがとうございます」基本中の基本です。
どこの会社も徹底しているように見えますが、世間一般的には職人って
愛想が悪いって思われているのも事実ですよね。
お客様の大切な住まいを修繕する時に、第一声で「おはようございます! 本日より宜しくお願いします!」
と元気に発声出来れば、お客さんはたったそれだけで安心するものです。
恥ずかしがり屋さんもいると思います。
けどそんなものは克服して、元気にあいさつができるようになって初めて職人として
一歩進むものであると僕は思ってます。
例えばお客さんが「この場合どうやって?」「この塗料はどこに使うの?」
「ここは塗ってくださるの?」などなど色んな質問が飛び交うと思います。
その時に恥ずかしいからと言って質問に対してオドオドしてたらそりゃ心配にもなります。
もっと恥ずかしい思いをするわけです。
けど明るく元気にあいさつするよう改善できたなら、こんな質問にも明るく返答できるのです。
職人は頑固で…クールで…無愛想で…おっかない…こんな形容詞はもう要りません。
例え悪ぶってても、会社の仲間との会話で見せる笑顔は純粋なものです。
社長や先輩はそれをわかってても、お客さんはわかりません。
元気に挨拶出来るようになれば世界が変わると言っても過言ではない。
大きな現場で、現場監督さんとのやり取りにしてもそうです。
職長の挨拶や会議で明るく元気に答えられれば、監督も安心するし、
フレンドリーになって得する事だってあります。
実際私はそうやって現場の環境を良くしてきたつもりです。
逆に無愛想で挨拶もロクに出来ない現場監督も居たりするが、その時は本気で叱ってやろうかと思う時さえある(笑)
けど、実際現場内の環境が良くなるというのは、仕事の品質も上がるし現場の士気もあがる。
これは間違いない事です。
毎日だらだらと朝のミーティングやるよりも、
週に一回元気なミーティングをやった方がよほど効率がいい。
朝の朝礼の様子
いくら塗装屋は技術職だとしても、人との交流で成り立っているのが現実です。
なら性格を変えてでも明るくなれるよう努力すべきです。
現場内で「おーい! 一服するぞー!」とか「あれ持ってこーい!」
とか、大きな声で呼びかけあうのはとても大事な事です。
お互いの安否も確認もできます。
無駄話をしろと言ってるわけでは有りません。
元気に声を掛け合う事がどれだけ士気が上がるか。自信さえも生むのです。
それでもかっこよく見せたい職人もいるかもしれません。
けどね、お客さんは職人の笑った顔を見たいんですよ。
明るく楽しく仕事してる若い職人さんを好きな奥様って結構多いんですよ(笑)
少なくとも私のお客さんはみんなそういう所を見てくれてました。嬉しかったですね。
それと挨拶にもいろいろマナーがある事を知りました。
とある旅館の仲居さん達は絶対に帰る時は「お疲れ様でした」は言わないよう教育されていました。
気になって何故かと聞きました。
「お疲れ様でした、はまだ残る人に言う言葉ではない。
帰る人はお疲れ様ですけど、残る人達はそれからも仕事があるのに対してそのセリフは失礼にあたる」と。
だから仲居さん達は「お先に失礼します。」と挨拶するらしい。
さらに「お先に失礼します。」に対しての挨拶が「お疲れ様でした。」となるらしいのです。
なるほどーと思いました。挨拶一つとってもなかなか奥が深いものです。
近年スマホが主流になり、SNSやブログなど、文章で返す言葉の方が多くなってきました。
利便性は良くなったものの、人と人の交流という文化においては退化してきています。
だから挨拶が出来ないのでしょう。けれどスマホを活かして綺麗に塗装できますか?
スマホを使って養生できますか?
出来ませんよね。
職人は生身の腕で仕事をします。商いをします。
誰よりも綺麗に塗りたいという願望があるならば、スマホなんて要りません。
目の前のクライアントを安心させて、最後まで気持ち良く取引できた人の勝ちです。
メールやチャットで「^^」や「m(_ _)m」などの絵文字が飛び交いますが、
これを打っている瞬間は本当に笑ったり申し訳ない顔をしているのでしょうか?
勿論何気なく打っているだけだろうし、それだけ付き合いの深い人達に限定されたことかもしれません。
けどこういう文化に慣れてくると、本当に謝らなければならない時に誠意をもって謝れるのだろうか?
きっとそうはならないと思いますが、懸念しなければならない事なのかもしれません。
最近の若い子は「こんにちわ」と平気で打ちますからね(笑)
「昨日わ…」とか。「わ」→「は」だろ!! と一喝したくなります。
けれどこれも教育の問題なのですよ。それだけ日本の「言葉」という文化が退化している証拠です。
日本語は世界一難しいと言いますからね。
それを産まれた時から難なく学習してきている文化をそう簡単に退化させたくありません。
学校での教育がダメならば、せめて勤めている会社で教育を徹底するべきです。
やみくもに怒るだけではなく、愛情を以て時間をかけて改善させていくのも会社の中のコミュニケーションの一つなのかと思います。
挨拶は仕事をできる以前の問題です。
「無愛想」で「頑固」なんて決してカッコいいわけ無いです。
明るく元気な職人こそ、今の時代必要な人材です。
そしてその方が絶対得をする!!
私はそれを身を以て体験してきました。
頼りにされるし、安心できるし、相談しやすいし、気持ちが良いし、そしてモテル!!(笑)
良いことずくしです!!明日から改善できる事です。
きっと明日のお客様も、そんな元気な挨拶を待っていますよ。
塗料への飽くなき追求
我々塗装工事の施工店は常に「いい仕事をしよう!」と心掛けてます。
けれどただ心掛けるだけでは前には進みません。
時代は常に進化しています。
20年前…ポケベルからPHSへと変わり、とてつもない速さで携帯電話が進化し、
今や日本国民の大半がスマホを持つ時代へと変わりました。
あの頃にドコモの株を買っておけば…そんな事を思った方も多いのでは?(笑)
僕ら塗装店も同じように進化してます。
工法が進化し、道具も進化する。
そして塗料が大きく進化を果たします。
10年前くらいはシリコン塗料やフッ素塗料で差別化を図っている時代でした。
今は断熱塗料、遮熱塗料、低汚染塗料など機能性に富んだ塗料がドンドン開発されてきています。
蓄電塗料なんて言うのももうそこまできているみたいですし。
こうして進化する塗料に対応するべく僕らも日夜研究に励んでいます。
大切なお客様の住まいをより住みやすく、愛着を持つように工事したいのが心情。
時代遅れの塗料で塗り替えても資産価値は当時のままなのです。
歳を取れば取るほど、こうしたニーズに追従できなくなっていくものですが、僕ら若手が率先して対応し、そしてこの名人社のような会を通して情報を共有していくって、実はある意味ではこれも社会貢献なのだと思うんです。
もちろん情熱を無くしたわけではありません。
単に敏感になれなくなっているという人間心理です。
生理的な現象ですよ。それでもこの会の先輩方は一生懸命時代に乗っています。
スマホを自由自在に操り、情報を飲み込んでいます。
僕はそんな先輩方を見ていると「俺も歳取っても情熱を保てるように努力しないと!」と励みになります。
進化に対応するって実は物凄く労力を使うんですよね。
情報を金で買う時代でもありますから、やはり進化に疎かになってはいけませんね。
さてそんな進化した塗料を使うために、僕らは日夜研究していると言いましたが、具体的にどんな研究をしているのか?
- まず一番に塗料の使いやすさです。
どんな塗料も出始めた頃はどこのメーカーもとにかく売るだけに走りがち。
しかし塗料は半製品。
生粋の施工店の僕らがその原料を使って現場で製品化するとなると、どこの現場でもイコールクオリティにはなりません。
技術による差、経験の差、塗料の使い方の差、などなど、やはり人間である以上人それぞれの技量で品質が変わります。
それなのに塗料メーカーは売って売って売りまくる。
現場での製品価値など後からついてくる結果だと思ってます。
車なら不良があった場合「リコール」という対応をしますよね。
けれど塗装工事にリコールなど皆無です。
あったらそのメーカーさんは本物です。
ええ、究極の。
だからこそ僕ら施工店がその塗料を熟知し、一度試し塗りをしたり暴露試験をしたりします。
※暴露試験…【塗料を塗ったサンプルを野外に放置し紫外線劣化や自然劣化を観察する試験。サンシャインウェザーメーターなどで紫外線を強制的に当て促進試験したりもする】
エンドユーザー様に売るのは僕らなわけだし、クレームなんか誰だって欲しくない。
だからこそ試験塗りをして「絶対的な確信を以て売り込む」ことでさらなる自信につながるわけです。
さらに誰が塗っても品質が同じ塗料ならそれに越した事は無いのです。
良いものは良い! そう信じて売り込むことでお客様も安心する事が出来ます。
↓暴露試験例(昔やっていた低汚染試験)
現在は進化した塗料と進化した工法を用いて、施工店によって様々な施工が出来上がってきています。
- そして二番目に塗料の性能です。
例えば塗料メーカーも商売なので、売れる商品が出るとこぞって真似た商品が出回り始めます。
遮熱塗料も今ではほぼどのメーカーでも扱っております。
しかしメーカーのカタログを見てみると性能や試験値がみんなバラバラなのです。
だったらって事で一番良い数値が出ている商品を僕らは買いますよね?
しかし残念な事に価格がバラバラです……。
「誰が塗っても同じ品質で、どのメーカーと比べても価格帯が同じ商品」
これこそ究極の塗料だと思いますが、どのメーカーも商売なので差別化は必要なのです。
数値が良くて安い商品を探すのも、これも一種の「価値ある情報」です。
こんなことにも僕らは研究をしているわけです。技術的な事ばかりでは無いのです。
前にも話しましたかね?
シリコン塗料と一口に言っても、メーカーそれぞれでシリコン含有量が違うんです。
アクリル塗料に1%シリコンを入れればアクリルシリコン塗料が完成します。
シリコン含有量100%なんて言ったら恐らく一缶で15万くらいするでしょう。
安いシリコン塗料は所詮安物なわけです。
シリコン含有量なんて施工店は多分一生知る事は出来ないでしょう。
超機密事項でしょうから。
だからカタログの数値で性能を知るしか出来ないんです。
カタログに良いこと三昧書いている事なんか誰だって知ってます。
「この塗料は対候性は良いですが乾燥が遅く使いづらいです」こんな事書いてたら売れませんからね(笑)
むしろ正直にそんな事書いてたら僕なら逆に買いますけどね(笑)
だから塗料の性能も試し塗りや試験をして比べるしかないのです。
本当に良いものをお客様に売る事が、実は物凄く難しい時代なのです。
技術だけじゃない、知識でもない、こうした地道な研究と情熱が、本当に良い施工店であると僕は思います。
このJPMはみんな研究熱心であり情熱ある方ばかり。
情報を共有し塗装新時代を築くのはJPMなのかもしれません。
時代が進化すればするほど、お金よりも大事な事を忘れがちです。
商売も企業も人である事をもう一度見直したいですね。
御拝読ありがとうございました。
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